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vol.21 ファスティング大全集② ファスティングを始める前に知っておくと良いこと。

腸内環境が崩れることでホルモンバランスの崩れも起きる


腸内環境とホルモンバランスの関係についてお話をする前に、そもそも「腸内環境が崩れるってどういうこと?」という疑問を持った方もおられると思います。腸内環境が良い状態とは簡単に説明すると、腸内の善玉菌が悪玉菌より適度に多い状態で、善玉菌優位の腸内環境のことを言います。


腸内には善玉菌や悪玉菌以外にも日和見菌という善玉、悪玉どちらかの優勢な方に同調して作用する菌がいます。その3つの菌の理想のバランスは「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」とされています。


善玉菌の代表としては、

乳酸菌・・・乳酸を作り出し腸内を酸性に保ち、悪玉菌が増えるのを抑制し腸の働きを正常にする。
ビフィズス菌・・・乳酸と酢酸を作り出し酢酸は強力な殺菌力や免疫を保護すると言われています。
酪酸菌・・・酢酸と酪酸を作り出し、酪酸は酪酸菌からしか作ることは出来ず、酪酸は大腸の上皮細胞が必要とするエネルギーの60~80%が酪酸でまかなわれています。さらに、大腸の酸素を消費することで、酸素濃度を薄くし酸素が嫌いなビフィズス菌などの善玉菌の活動しやすい環境にします。

これら善玉菌はオリゴ糖や食物繊維をエサとして、乳酸や酢酸、酪酸などの短鎖脂肪酸を作り出します。酪酸やプロピオン酸の一種は大腸で使われますが、それ以外の短鎖脂肪酸は大腸の粘膜から吸収され血流にのり、全身の臓器などの形成などに関わるエネルギーになります。

また、短鎖脂肪酸は肥満の抑制と深くかかわっていることが近年分かってきました。

東京農工大学大学院の特任教授の木村郁夫博士が、短鎖脂肪酸が肥満(脂肪細胞の増殖)のブレーキの役割を担っていることを論文*¹で発表しています。また、食欲抑制や糖尿病予防にも効果があるとしています。


さらに、腸内フローラと肥満の関係について最も知られている研究として、2006年に「nature」にてワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士のチームの論文があげられます。これは、無菌状態のマウスに肥満の人の腸内フローラを移植すると35日後には体脂肪が20%も増加したというものです。

この研究をもとに、痩せている健康な人の便を肥満の人や疾患や癌を患っている人に移植する研究が現在進められています。


私たちの腸内では上記のような善玉菌が優位で正常に働くことにより、肥満対策や免疫力アップ、ホルモン代謝、発がん性物質の分解に影響があるとされています。


では、簡単に自分の腸内環境をチェックする方法を一つご紹介していきます。



自分の腸内環境を調べる方法


腸内環境を調べる方法として、腸内フローラ検査キットというものがあります。これは、便を採取して専門機関にて腸内細菌の比率や菌の種類などを調べることができるものです。

安くても1万円を超えるものばかりですが、結果が具体的に分かる検査を利用することをお勧めします。そうすることで、自分に必要な善玉菌の種類やとってはいけない食事などより理解することが出来ます。


それ以外で最も簡単な方法としては、便を目視で確認して腸内環境がどういう状況かを調べる方法があります。


理想とされる便は黄色から黄褐色と言われています。これは腸内が酸性かアルカリ性優位かによって色が変わるためです。善玉菌優位であればあるほど黄色に近づきます。

赤ちゃんの便が黄色いのは、ビフィズス菌が多く腸内が酸性状態であることが関係しています。具体的に赤ちゃんの便はPh5程度で、6.5を超えると"茶色"になり、7を境に便はアルカリ性の"黒"になります。黒くなれば悪玉菌が優位な状態と言われています。

成人の健康な便は5.5から6.5までと言われています。


また水分量も腸内環境を見るうえで重要です。健康な便は水分が80%と言われており、トイレの水に少し浮くくらいでバナナのような便がいいとされています。

一方、コロコロだったり、逆に水気が多いもの、便秘と下痢を交互に繰り返す方などは腸内環境が悪く、悪玉菌優位であるといえます。





腸内環境が崩れる原因


腸内環境が崩れる原因はさまざまですが、大きな原因としては、

食生活の乱れ・・・砂糖や小麦などの精製された炭水化物、肉類中心の生活、加工食品の取り過ぎ。
ストレス・・・ストレス過多により交感神経が優位となり、胃腸の活動が低下する。
加齢・・・食生活や運動不足などの蓄積が影響もあると考えれますが、50~60代になると悪玉菌が優位となっている人が多いと言われています。

腸内環境は先述のとおり、肥満や、現代病ともいわれる糖尿病や高血圧、花粉症や食品アレルギーや癌などの様々な疾患や病気との関連が分かってきています。

さらに、私たちの免疫細胞の70%が腸内に存在しており、近年、猛威を振るっているコロナウィルスなどにも「腸内環境を改善して免疫力を上げることで一定の予防が出来るのではないか」と、学者の間では話題になっています。



腸内環境とホルモンバランスの関係って?


そして、一見関係の無いように思える、腸内環境とホルモンバランスはどのように関係しているのでしょうか。


実は私たちの腸と脳は「迷走神経」という神経で直接繋がっていて、お互いに密接に影響しあっています。例えば、緊張するとお腹を壊したり、ストレスが多い生活を送ると便秘になるのも、腸と脳が相互に影響しあっているからです。


その他にも、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の90%が腸内で作られており、腸内環境の悪化がうつ病、やる気のなさ、注意欠陥障害を引き起こす原因なのではないかとも言われています。


また、前回お話したインスリンやコルチゾールといったホルモン分泌にも深く関わっていて、腸内環境の悪化によってインスリン抵抗性やコルチゾールの過剰分泌、あるいは、満腹ホルモンと呼ばれる「レプチン」が働くなくなる「レプチン抵抗性」などのホルモン異常にも関係していると考えられています。レプチンが過剰に分泌されることが、肥満を引き起こす大きな要因と考えられており、現在もそのメカニズムの解明が進められています。



レプチンの働きについて


レプチンについてもう少し詳しく説明します。

レプチンとは、身体の脂肪細胞から分泌されるホルモンであり、別名「満腹ホルモン」や「飢餓ホルモン」と呼ばれています。「脂肪細胞が体内を循環する肥満因子を生み出しているのではないか」という説は1950年代後半から提唱されていましたが、それからおよそ40年後の1994年になって初めて、肥満因子である「レプチン」が発見されました。


肥満因子とされるレプチンですが、レプチンは本来、摂取したものを消費するカロリーや体内に蓄える脂肪量などのエネルギーバランスを長期的に整える働きをするホルモンであり、飢餓状態や食べ過ぎを防ぐ役割を果たしています。

しかし、レプチンは体脂肪の増加に比例して増える性質があるため、食べ過ぎによって体脂肪が増えるとレプチンが過剰に分泌されてしまい、この働きが効かなくなってしまいます。


これは「レプチン抵抗性」と言われるもので、レプチン抵抗性になると、脳にはエネルギーが十分であるという情報が伝わっているにもかかわらず、食欲が抑制できなくなり、食べ続けてしまうという状態を引き起こします。


たとえば、マウスに高脂肪食を3ヶ月間与えて飼育する実験が行われましたが、このマウスにレプチンを投与しても食欲は減少せず、体重の減少も見られなかったという報告があります。これはマウスに「レプチン抵抗性」が発生している証拠であり、同じような現象が私たちの体内でも起きています。


また、レプチンがうまく働かなくなることで脳は体が「飢餓状態である」と勘違いし、食べても食べても満足しない状態となってしまいます。これが肥満を引き起こす最大の原因であり、太っていて体脂肪が十分であるのに食べ続けてしまう要因であると考えられています。



レプチン抵抗性を改善するには


では、レプチン抵抗性を改善するにはどうしたら良いのでしょうか。

「体脂肪に比例してレプチンが増えるなら、ダイエットすればよいのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、レプチン抵抗性に対して、「ダイエットは有効ではない」という説が一般的なようです。

というのも、ダイエットによって体脂肪が減少すると、脂肪の量が減ってしまいレプチンそのものの分泌量が下がります。しかし脳はレプチンの分泌量が下がったことに反応し「もっと栄養を摂るよう」に指令を出します。この脳からの指令は強烈で、ダイエットを終了しても1年以上この指令が出続けることがわかっています。


「レプチン抵抗性」に対して現段階では確実な改善方法は見つかっていません。しかし有効な改善方法として「身体の炎症反応を取る」ことが重要視されています。


身体の炎症反応を取るとは、

・良い食事 ・適度な運動 ・加工食品を避ける

などが挙げられます。


とくに「良い食事」や「加工食品を避けること」は、腸内環境を整え、その結果、ホルモンバランスの改善にも繋がります。「レプチン抵抗性」に抵抗するためには、腸内環境の改善が何よりも大切であることをぜひ覚えておいてください。



とくに女性はホルモンバランスの影響を受けやすい


腸内環境の悪化によるホルモンバランスの影響はどんな方にとっても大切な問題ですが、ホルモンバランスの崩れに影響されやすいとされる女性は、とくに気をつけたいところです。

腸内環境の悪化が月経困難症やPMS(月経前症候群)、うつ病、やる気のなさなどの原因の一つであることが報告されています。


その中でも、うつ病の原因は本当にさまざまで、女性の社会進出や人間関係の複雑化など、腸内環境だけが問題であるとはもちろん言いませんが、女性のうつ病の罹患率(りかんりつ)が男性に比べて1.7倍から2倍であるというデータをみると、ホルモンバランスとの関係は切り離して考えられない問題だと思います。



まとめ


今回は、腸内環境とホルモンバランスの関係についてお話ししました。

脳と腸は直接繋がっていて、相互に関係しているということがお分かりいただけたのではないかと思います。腸内環境を整えることがホルモンバランスを改善することの一つの手段となりますので、普段の生活や食事内容を少し意識して、腸内環境の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。


まずは一日一杯のボーンブロスから。


出典

*¹ジャーナル紙2017巻36号4ページ135-140 「腸内微生物代謝物短鎖脂肪酸と肥満」

Nature 444, 1027-1031 (2006)

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