太る原因ってなに?
今回からファスティングについて詳しくお話していきたいと思います。「ファスティングってなんとな〜く聞いたことあるけど、どんな効果があるの?」や「ファスティング中ってどんな栄養を摂ったらよいの?」といったことなどをご紹介できればと思います。
ただ、いきなりファスティングのお話しをする前に、多くの方がファスティングを始める理由としてダイエットを上げると思います。今の時代はさまざまなダイエット法があり、どれも効果がありそうですが、やめた途端リバウンドやそもそも辛くて続かなかったり、もう甘いものも美味しいご飯もない、無人島でも行かない限りダイエットは成功しないんじゃないかって思っている人も多いはずです。
ダイエット目的でファスティングにたどり着いた方はもしかしたら無人島に行かなくても、長期的にダイエットが成功するかもしれません。
さまざまなダイエットを試しても痩せない理由
これまで数え切れないほどのダイエット方法が登場してきました。しかし新しいダイエット方法が出るたびに、「試しては失敗の繰り返し」という経験をされている方がとても多いのではないでしょうか。どのダイエット方法も「最初は」減量効果があるのでダイエットに成功したと思って嬉しくなってしまいますが、続けることができずに結局いつの間にか食生活も元に戻ってしまうといったケースが後を絶ちません。
さまざまなダイエット方法があるにもかかわらず、ダイエットが上手くいかないのはなぜなのでしょうか。ここでは代表的な2つのダイエットの問題点を簡単にご紹介します。
カロリー制限ダイエットでは痩せられない
ダイエット方法と聞いて、みなさんが一番最初に頭に浮かぶのは「カロリー制限ダイエット」ではないでしょうか。これには、単純にカロリーを制限する食事だけではなく「一食を〜に置き換える」といったダイエット方法も「カロリー制限ダイエット」に含まれます。
一般にカロリー制限ダイエットを行う場合には、次のような方法があると思います。
・摂取カロリーと消費カロリーを計算する。 ・少しずつ複数回に分けて食事を摂る。 ・一度に食べる量を制限する。
これらは一見すると「摂取カロリーを減らしている」のでダイエット(減量)になるように思えますが、そこには大きな落とし穴があります。
ダイエットは単にカロリー計算でできるものではなく、体のさまざまな作用を理解して初めて成功できるといえます。なかでもホルモン作用に対する理解が大切で、ホルモンの働きを理解しない限りどんなダイエットも失敗するといっても言い過ぎではありません。
たとえばカロリー制限ダイエットの場合で考えてみましょう。
日常的に2000kcal摂取している人がダイエットのために摂取カロリーを1500kcalに制限したとします。すると当然、摂取するエネルギーが減るので初めのうちは消費カロリーが上回り、体重が減少します。
しかしまもなく減少がとまり、体重変動は横ばいになります。これはなぜかというと、摂取カロリーに合わせて体全体で使うエネルギーを調整し、消費カロリーも少なくなるからです(呼吸や認知の機能を下げて)。
さらに、摂取カロリーが減少すると空腹感を刺激する「グレリン」というホルモンが分泌され、同時に「アミリン」や「コレシストキニン」と呼ばれる満腹ホルモンが減少します。これにより食欲が増してしまい、結果的にリバウンドが起きます。

またカロリーだけを計算するダイエットでは、「摂取カロリーさえ気にすれば大丈夫。」と考えるようになり、摂取する栄養素に注意が向かなくなります。しかし本当にダイエットを成功させたいのであれば、「カロリー」ではなく「何を摂取するか」が一番大切です。例えば、糖分だらけの炭酸飲料で150kcal摂取するのと、ナッツ類で150kcal摂取するのでは、同じ摂取カロリーでもどちらが体に良いかは明らかだと思います。なぜ明らかなのかというと、「同じカロリーでも異なる代謝やホルモンを引き起こす」からです。
カロリー制限ダイエットの問題は他にもありますが、続けることで身体的・精神的問題も報告されています。
例えば、
・体の冷え ・倦怠感 ・気分の落ち込み ・食べ物に対する欲求が抑えられなくなる
などがあります。
こうした症状に悩まされて、結果的に以前よりも不健康になってしまってはダイエットの意味がありません。安易にカロリー計算でダイエットするのではなく、体の働きを知った上で取り組むことが、ダイエットやあなたの健康を向上させるうえで本当に大切なことだということを忘れないで下さいね。
糖質制限ダイエット
もう一つのメジャーなダイエット法といえば、「糖質制限」です。 糖質制限による減量(健康)法はアメリカのロバート・アトキンス医師によって広まり、「アトキンス式低糖質ダイエット」として日本でも知られています。しかし、炭水化物を制限する健康法はかなり以前から提唱されており、19世紀の初期にはすでに登場していたようです。
そんな糖質制限には次のような効果があります。
・全身の代謝が改善 ・血圧を下げる ・コレストロールを下げる ・血糖値の改善 ・インスリン感受性の改善
糖質制限はさまざまな比較実験データにより有効とされていますが、糖質制限にも大きな問題があります。それは、「続かない」ことです。
例えば、アメリカのテンプル大学の研究チームが、低脂質ダイエットとアトキンスダイエットの2つのグループに分けて効果を検証する比較実験を行いました。結果は、どちらにも体重減少がみられたものの、1年後に両グループの体重を計測したところ、ほとんど同じ割合で体重が元に戻るという結果でした。
つまり糖質制限ダイエットは、「減量効果」という観点からは他のダイエット方法と変わらないことがわかりました。また、食事を厳しく制限する糖質制限ダイエットは、経験者の40%が1年以内にやめてしまうという研究報告もあります。いくら健康に良いダイエット方法でも続かなければ意味がありません。
以上、代表的なダイエット方法をご紹介しました。 どちらも「悪い」わけではありませんが、体内のホルモンバランスが崩れたり、継続できないのであれば、その努力も無駄になってしまいます。そして上記2つの共通点は「ホルモンバランスの乱れ」によるものと考えられています。
「糖質制限では糖を制限するのだからホルモンバランスが乱れないのでは?」と思った方もいるかもしれません。たしかにそうなのですが、これについても興味深い調査があります。
それは、
「白米を主食としているアジア人は欧米人と比べて痩せている」
という調査です。
この調査はイギリス人・アメリカ人・日本人・中国人の食事内容を調査したもので、調査結果は4カ国とも炭水化物(小麦や白米など)の摂取量に大きな違いはありませんでしたが、「糖分」の摂取量に優位に差がみられました。日本人や中国人に比べて、イギリス・アメリカ人の方が「糖分」の摂取量が多かったのです。
この調査からわかるように、ホルモンバランスを乱す原因は「糖分」にあるようです。
太る原因は糖分摂取によるホルモンバランスの乱れから
いきなりですが「太るのは食べ過ぎたからでしょ?」と思われた方も多いと思います。でも実は違うんです。わたしたちの身体は本来太らないようにできているのです。この働きは「ホメオスタシス」と呼ばれていて、ホメオスタシスは「体温や体重などを一定に保つ」働きをしています。
例えば、きちんとホメオスタシス機能が働いていれば、摂取カロリーが増えてもその分代謝がアップするので、体重は増えないということになります。反対に摂取カロリーを減らして痩せたとしても、ホメオスタシスの働きにより1日の代謝が下がってしまい、しばらくすると食欲を刺激するホルモンが分泌され、体重を元に戻そうとします。これがリバウンドの原因です。
ではそもそも「なぜ太ってしまう」のでしょうか?
近年、その原因が体内のホルモンバランスの乱れによるものであることがわかってきました。なかでも鍵を握るのが「インスリン」と「コルチゾール」というホルモンです。次に、その働きをご紹介します。
インスリンの過剰分泌が太る原因
「インスリン」という言葉は多くの方が聞いたことがあると思います。私たちの体は食事を摂取すると血中の糖濃度が上がり血糖値が上昇しますが、膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンであるインスリンは、上がった血糖値を正常に保つ働きをします。またインスリンは、摂取した糖を筋肉や脂肪に運び、血糖値を下げる作用もあります。
肥満とインスリンの関係を示す次のような研究があります。
「糖尿病治療のためにインスリンを注射した患者は、食事からの摂取カロリーを減らしたにもかかわらず体重増加がみられ、反対に、膵臓の働きが損なわれていてインスリンの分泌量が極端に減った患者は、どんどん痩せていきました。」
このことから、インスリンと肥満が密接に関わっていることが推察できます。
また、肥満の人は「インスリン抵抗性」状態になっています。
「インスリン抵抗性」とは、膵臓からインスリンが分泌されても、あまり糖が細胞に送られず、インスリンが過剰に出ることで肥満になっている状態です。このことから、インスリン抵抗性が体重の設定値をあげ、それが肥満につながるということがわかっています。
肥満の原因となるもう一つの重要なホルモンは、「コルチゾール」です。コルチゾールは、人間が恐怖を感じたときに分泌されるホルモンで、慢性的に分泌されると身体は危険に備えてエネルギーを溜め込もうとします。さらにエネルギーを作るために、人間の身体は筋肉を分解して糖質を作り始めます。その結果、血中の糖濃度が上がりインスリンが慢性的に分泌され、体重の設定値を上げてしまいます。
ではどうすれば痩せるのでしょうか?
ダイエットの成功や、健康向上のために本当に必要なことは何なのでしょうか。それには腸内環境が大きく関わっていることが近年の研究で明らかになっています。以前のブログでもご紹介しましたが、腸は「第二の脳」と呼ばれるほど人間の健康に大きな役割を果たしていて、ホルモンバランスと密接に関係しています。
腸内環境を整えることでリーキーガット症候群による悪影響が改善され、健康の向上やダイエットにもつながると考えている医師も増えてきました。次回以降では、腸内環境とホルモンバランスの関係をさらに深堀していきますので、ぜひお楽しみに!
まずは一日一杯のボーンブロスから。