前回のファスティングの基礎はいかがでしたでしょうか?
ファスティングの歴史やファスティングの奥深さなどもありましたが、その際にオートファジーという言葉が出たのを皆様覚えていますでしょうか?
今回はファスティングによって得られる「オートファジーの基礎」について解説します!
オートファジーとは?
近年、オートファジーという言葉が話題となり、少しずつ皆さんの耳に届くことが多くなったかと思います。しかしオートファジーの歴史は意外と古く、およそ50前にはすでに先行研究がなされていました。オートファジーという概念を一番最初に唱えたのは、ベルギーの生化学者のクリスチャン・ド・デューブ博士です。
オートファジーの説明の前に、言葉の意味から見てみましょう。
オートファジーという言葉はギリシャ語を起源としています。
オート(Auto) ➡ 自分 ファジー(Phagy) ➡ 食べる
つまり語源からみると、【自分で自分を食べる】という意味となります。
これは”自食作用”と言われており、1996年には「自食作用研究会」という研究会が開かれました。
オートファジーという概念は、東京工業大学の大隅良典博士がノーベル生理学・医学賞を受賞されたことで、日本のみならず世界でも注目を集めるようになりました。しかしそれまでは、”自食”と”辞職”が間違えられるというエピソードがあるほど、世間からの認知度は低いものでした。

オートファジーを作った2人
まずオートファジーの話しに入る前に、オートファジーが知られるきっかけとなった超有名な方を最初に2名ご紹介します。
・大隅教授
「人と違う事をやる」「誰も注目してないからやる」という信念を持ち、オートファジーの研究を続けたことで、2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。大隈先生のノーベル賞受賞が、オートファジーの世界的認知を大きく広げました。
・吉森保教授
オートファジー研究の第一人者であり、大阪大学栄誉教授。生命科学分野における世界的権威であり、ノーベル賞を受賞した研究者の共同研究者でもあります。ご著書『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス)長生きせざるをえない時代の生命科学講義』は高い評価を得ており、オートファジーについて理解したい方には必読の書とされています。
このお二人の研究者がいなければ、オートファジーはまゆつば程度にしか理解されず、ファスティングの効果も世間的理解を得られなかったのではないかと思います。
オートファジーが知られるようになったきっかけは?
オートファジーについてお話しする上で、キワードとなる重要な言葉があります。
それは【タンパク質】です。
このコラムを読んでいる皆さんは、筋トレやダイエットにはタンパク質が重要であることをよくご存知だと思います。タンパク質は人間の身体を構成するうえでとても大切な栄養素であり、筋肉や肌、髪や爪などを作るのに使われます。
ではここで皆さんに一つ質問です。
人間の体内で、1日何グラムのタンパク質が作られているご存知でしょうか?
正解は、およそ"240g"と言われています。
普段から意識してタンパク質を摂取している方にとっては、ビックリする数字だと思います。ちなみにこの数字は、鳥のささみで換算すると100gのささみ9個分にもなり、普段の食生活で240gを摂取するのははとても困難です。

足りないタンパク質をどうやって補うのか?
では、足りないタンパク質はどこから調達しているのでしょうか?
そこで使われるのがオートファジーなのです!
身体には、タンパク質を食べて細胞をリメイクするプログラムが備わっており、このプログラムのことを【リサイクルシステム】と言います。
そして驚くべき事に、体内で作られる240gのタンパク質のうち、60%以上は不要になった自分自身のタンパク質のリサイクルによって作られてるのです。
私たちがファスティングを健康的にできる理由は、自分の身体の中のタンパク質を食べてリサイクルする、オートファジー機能プログラムが元々備わっているからなのです。
そして、この知識があるかどうかが、ファスティング成功させる上でもっとも重要な鍵となります。
オートファジーにより健康寿命を伸ばす?
オートファジーには多くの効果がありますが、その中から最後に一つ紹介します。
先程ご紹介した吉森保教授の研究によると、飢餓状態(空腹期間を設ける)が続けば続くほど、オートファジーの働きが活性化することが分かっています。
更に、オートファジー機能が活性化すると、健康寿命がが延びるということも発見されています!
これは、ファスティングにも関わっており、長めの空腹期間を作ることでカロリーを摂取を抑え、「ルビコン」(オートファジーの働きを抑えてしまうタンパク質)が減少し、健康寿命を伸ばしたのではないかという内容でした!
まずは一日一杯のボーンブロスから。